THE TOKYO TOILETとは?渋谷の公共トイレ17箇所が変える社会の未来とデザイン
THE TOKYO TOILETとは?

皆さん、トップクリエイターたちが渋谷区の公共トイレを生まれ変わらせた「THE TOKYO TOILET」というプロジェクトをご存知でしょうか?
THE TOKYO TOILETとは、世界で活躍する建築家やクリエイターたちが集結し、渋谷区内17箇所の公共トイレを「誰もが気兼ねなく、快適に使えるユニバーサル空間」へと生まれ変わらせた刷新プロジェクトです。障害の有無や性別に関わらず、すべての人が心地よく過ごせるインクルーシブな社会のあり方を、トイレという身近なインフラから発信しています。
これまで、公共トイレに対して「不衛生そう」「防犯面が心配」「暗くて入りにくい」といった感情を覚えたことはありませんか?特に、乳幼児を連れているときや、身体的なサポートが必要なとき、街のトイレが大きな障壁になってしまう現状がありました。
誰もが当たり前に、いつでも安心して、快適に使える場所。それこそが公共トイレが本来あるべき姿ではないか――。
そんな原点に立ち返り、最新の衛生機器と、あらゆる人に配慮したオストメイト・車椅子対応のユニバーサルトイレを全施設に完備したのが、この「THE TOKYO TOILET」です。
すべての人が等しく必要とする場所だからこそ、トイレを見ればその地域や社会の優しさ、成熟度がわかります。多様性を認め合い、それぞれの個性を尊重し合える理想の社会づくりを、THE TOKYO TOILETというプロジェクトは静かに、しかし力強く支えています。
THE TOKYO TOILETのピクトグラム


THE TOKYO TOILETの全17施設に導入されている共通サイン「ピクトグラム」は、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏が手がけた、個性豊かな16組のクリエイターたちの建築デザインそれぞれに違和感なく馴染む独自のグラフィックシンボルです。
日本の新たな公共トイレの基準となるよう、JIS(日本産業規格)をベースに図形をシンプルに整理して「見やすさ」を追求。同時に、各パーツの角にほんの少し丸みを持たせることで「親しみやすさ」を表現し、文字を読まなくても世界中の誰もが直感的に理解できる全12種類をデザインされたそうです。
街のトイレで、「男女のマーク」と「車椅子やベビーのマーク」のデザインの雰囲気がバラバラで、なんとなく統一感がないと感じたことはありませんか? 意識しないと見逃してしまうかもしれませんが、佐藤氏が着目したのは、従来の公共トイレに多く見られた「特定の識別だけが目立ち、多様な利用者への配慮が同じルールで表現されていない」という課題でした。そこで今回は、すべてのマークを「同一のエレメント(線や形)」で美しく描き出すという、徹底した共通ルールを作られたそうです。
ベビーチェアや介助用ベッドといった、これまでにない多種多様な機能表示を網羅しています。特に、1つの図記号の中に2人の人間が描かれる複雑なシーンでは、「一方の人物を線画で表現し、もう一方の人物の頭部だけを塗りつぶす」という独特な表現を用いることで、視覚的なごちゃつきを巧みに防いでいるのが大きな特徴です。
ピクトグラムに文字を添えるか、あるいは色分けをするかといった最終的な仕様は、佐藤氏が一律で縛るのではなく各施設の設計者の裁量に委ねられました。結果として、全17箇所のトイレすべてで「色を使わず、ピクトグラムのみで表示する」という形に着地し、ステンレスをはじめとする使用素材もそれぞれの建物に合わせて柔軟に選ばれているそうです。今回は、お互いを尊重し合うおもてなしの心を、洗練された共通ルールで形にした佐藤可士和氏によるピクトグラムデザインをご紹介します。
個人的にも、THE TOKYO TOILETを巡る際、各トイレの個性的な外観を楽しんだ後に、「ここのピクトグラムはどう馴染んでいるんだろう」と、マークを探す宝探しのような楽しさにいつも胸が躍ります。皆さんも是非探してみてくださいね。
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THE TOKYO TOILETが目指す「綺麗の好循環」

渋谷の街に建つ、クリエイターたちが手がけた17の公共トイレ。THE TOKYO TOILETでは、プロジェクトの立ち上げ当初から「いかに綺麗に使い続け、維持していくか」という、メンテナンスの仕組みのデザインを大切に考えてきました。デザイナーのNIGO®氏が監修したオリジナルユニフォームの導入から、医療現場などで使われる「汚れを数値化する診断」にいたるまで、これまでの公共トイレの常識を覆す維持管理体制を整えています。
私たちが都会の真ん中で清潔なトイレに巡り合える裏には、安全で清潔な環境を黙々と守り続けるプロフェッショナルたちの存在があります。このプロジェクトでは、清掃スタッフへの感謝や敬意を社会に広げたいという願いから、一目でそれと分かるスタイリッシュな紺色のワークウェアになったそうです。作業員からも大好評だったこのユニフォームは、利用者が安心して声をかけられるきっかけを生むなど、温かいコミュニケーションの輪を広げることにも繋がっているそうでとても良い循環ですよね。
現場では、建物を傷つけず、寿命を延ばすための丁寧な3つの清掃プログラムが実施されています。
- 日々の通常清掃(1日1〜3回): 原則として水をあまり使用しない「乾式(かんしき)」を採用。私も知りませんでしたが、菌の増殖を効果的に抑えられるメリットがあるそうで、各素材に適した専用の除菌消臭剤やダスターで、鏡の水垢一つまで丁寧な清掃を行います。
- 定期清掃(月1回): 頑固な水垢や黒ずみ、黄ばみを専用の溶剤ですっきりと除去します。
- 特別清掃(年1回): 外壁や照明設備、屋根の上の落ち葉にいたるまで、建物全体をリフレッシュします。
さらに驚いたのは、感性だけでなく「科学的なデータ」で品質をコントロールしている点です。厚生労働省認定の専門資格を持つ「トイレ診断士」が毎月現地を訪れ、汚れの指標となる「ATP拭き取り検査」をはじめ、空気環境を守る換気能力や安全設備の動作確認まで細かくチェックしており、この厳格なデータ管理からは、なんと「利用開始当初よりも、汚れの数値が下がっている施設がある」という非常に嬉しい実績も生まれているそうです。
公共トイレは管理を怠ればすぐに汚れてしまいますが、人間には「美しい場所は汚しにくい」という心理があります。
使った人が自然と「次の人へのもてなしの心」を持ってくれる。
それこそが、このプロジェクトが未来へと紡いでいく真の目的であり、私たちが運営しているこの「もてなしトイレ」の本質もここにある気がしました。
THE TOKYO TOILET トイレ一覧
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